エンディングノートをこれから書きたい(書いた方が良いかな?)と考えている方もいらっしゃると思いますが、人によっては「エンディング=人生の終わり=終活・お葬式・相続…」と少し抵抗があったり、重く考えて行動に移せない方もいらっしゃいます。
良い意味でエンディングノートは「現時点でのご自身の情報・気持ちを整理し、残りの人生をより良くするもの」とも言われますが、どうしても「人生の終盤に差し掛かった高齢者が利用するもの」とイメージされるのも仕方ないかもしれません。
でも実際には、年齢に関わらず全ての人におすすめです。
私も過去に書いた経験がありますが、現時点での自分の情報を整理する作業はとても気持ちがスッキリします。エンディングノートは「終わりへの準備ノート」ではなく「現時点での自分整理ノート」と考えてみることがおすすめです。
どなたにとっても、もし突然ご自身に病気や事故などが起こった場合に、ご家族や親族が困らないための情報・伝えたい気持ち等を残しておくことは大切だと思います。
エンディングノートは完璧に全項目を書く必要はありませんし、あくまで現時点での情報・気持ちの整理です。もし変化があった場合は何度でも見直し(書き直し)ましょう。まずは気楽にスタートすることがおすすめです。
エンディングノートは書店で購入可能です。たくさん種類がありますが、まずは直感で好きな物を選んで大丈夫です。
現時点での自分の情報を整理することを最優先(お葬式や相続に関することは後回し)
エンディングノートの基本的な内容は、大きく分けて3項目です。
- 現時点での自分の情報(所有財産や契約サービスなど)
- もしもの時の希望(介護・お葬式・納骨など)
- 相続に関する希望(財産の分け方)
まずは「1.現時点での自分の情報」を優先的に書き進めることがおすすめです。それ以外は後回しで大丈夫です。
- 所有財産(金融口座・株式・不動産など)
- 日常生活関連の契約(水道光熱・電話・インターネットなど)
- その他の契約(生命保険・リース・サブスクなど)
- 公的保険(医療・年金・介護など)
- 借金・ローン返済の有無
- パソコンやスマホ、メールのID・パスワード
実際、離れて暮らす親御さんの財産を把握していないお子さんも多いですし、同居している夫婦・家族であっても同様です。上記の情報をまとめて残しておけば、もしもの時に非常に役立つと思います。
もしエンディングノートに無い情報を残したい場合は、追加で紙に書きクリップや糊で張り付けておくのも良いと思います。
お互い(メッセージを残す側、受取る側)の事を考えて書くことがおすすめです
エンディングノートはあくまでメッセージです。遺言書の様な法的効力はありません。その分気軽に書くことができますが、あまり好き勝手な内容を書くと残されたご家族の争いの元になる可能性もあります。
きっとエンディングノートに書き残した希望は、残されたご家族は実行してくれると思います。実際にご自身のお葬式や相続を実行してくれるのは残されたご家族です。
エンディングノートを書く場合は、メッセージを受取る側の人の事も考えながら書くことがおすすめです。
- メッセージを残す側、受取る側
- お葬式を行ってもらう側、行う側
- 財産を残す側、引き継ぐ側
お互いへの思いやりがとても大切だと思います。
書店で購入可能です
エンディングノートは書店・オンラインショップで購入可能です。価格は1,500円前後が多いと思います。可能であれば、書店で実物を触ることがおすすめです。大きさや紙質、色合いも様々ですので、まずは直感で好きな物を選んで良いと思います。
特にこだわりがない方には、文具メーカーのコクヨさんが販売している「もしもの時に役立つノート」が個人的におすすめです。書店に実物が置いている可能性も高いですので、よろしければ一度ご覧ください。
保管場所は必ずご家族(信頼できる人)に伝えておきましょう
せっかく書いたエンディングノートでも発見されえなければもったいないので、保管場所はご家族(信頼できる人)に伝えておきましょう。
ただし、人の出入りが多い玄関やリビング等は、ご家族以外に簡単に発見される可能性も高くなりますので避けましょう。
【参考】お葬式に関連する内容について
お葬式関連の中でも、菩提寺(お付き合いのある寺院)の情報は大切です。
例えば、親御さんが亡くなり、子が喪主になる場合に「菩提寺は?宗派は?お墓は?」と子が把握していない場合があります。
菩提寺がある場合は必ず書くことがおすすめですし、特に「御布施(お葬式でのお坊さんへの御礼)の金額」をご存知の場合は、書き残しておくと子(喪主)が非常に助かると思います。
もし、菩提寺がない・お墓もない場合は、ご自身の希望(お葬式でのお坊さんの有無・納骨希望先)を書き残しておくと良いと思います。
【参考】相続「税」対策は不要でも、相続対策は必要です
まず結論として、約90%の方が相続税は0円です。
「相続税っていくら支払う必要がありますか?」と時々質問を受けますが、相続税には「基礎控除」があり、故人の財産が基礎控除額を超えなければ相続税は0円です。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、夫が亡くなり、法定相続人が妻と子2人(合計3人)の場合
基礎控除額は「3,000万円+(600万円×3)=4,800万円」です。つまり、故人の財産が4,800万円以内であれば相続税は0円です。
また、故人の配偶者(夫または妻)が相続人の場合、配偶者控除があり「1億6,000万円まで、もしくは法定相続分まで非課税」です。
複雑な相続税対策をせず、シンプルに相続税を支払う方が良いと思います
相続「税」対策として、生命保険や不動産(空き土地)の活用を企業やファイナンシャルプランナーから勧められた経験がある方もいらっしゃると思います。これはあくまで個人的な意見ですが、知人の司法書士・税理士さん等との会話での結論として相続対策は不要だと思います。
まず最初に、相続財産が基礎控除額を超えるほどあるか?を確認しましょう。もし多額の財産があり1円でも多く遺族へ残したい場合は、生命保険控除も検討の余地はあるかもしれませんが、シンプルに相続税を支払う方が残されたご家族様にとっても総合的に都合が良いと思います。
特に下手に不動産を残す(新たに賃貸用ハイツなどを建てる)と、後々の管理や始末でご家族様が大変な思いをする可能性もあります。もし親御さんが不動産(空き土地)をお持ちの場合は、悪質な営業に注意が必要かもしれません。
また、お葬式費用のための死亡保険(特に貯蓄型保険:終身・養老など)の利用よりも、お葬式費用は少しずつ貯めておく方がおすすめです。
再度お伝えしますが、そもそも約90%の方が相続税は0円(相続財産が基礎控除額を超えない)です。相続税対策はあまり気にされなくても良いと思います。
相続対策=「ご家族での話し合い」はとても大切です
相続「税」対策は不要ですが、相続対策はとても大切だと思います。相続対策を簡単に言えば「ご家族全員での話し合い」です。相続(財産の分配)以外にお葬式や納骨についても含みます。
- どんなお葬式が良いか?
- どこに遺骨を納骨(供養)するか?
- 財産をどの様に分けるか?
財産を残す人・引き継ぐ人、お互いの希望や気持ちを全員で素直に話し合うことがとても大切だと思います。
例えば、親御さんとしては「子に財産を残してあげたい」と思っていたとしても、お子さんは「全部使って残りの人生を豊かに過ごして欲しい」と思っているかもしれません。お互いの気持ちは話し合わないと分かりません。
お子さん側から親御さんへお葬式や相続の話は切り出しづらいかもしれませんが、誰かがきっかけになる必要があります。
「お葬式や相続についてあまり話したくないけど、それ以上に後でお互いの本音や希望を話せなかったことを後悔したくない」
という気持ちがある場合は、思い切って話をすることがおすすめです。
まとめ
エンディングノートは「現時点での自分整理ノート」と考えると年齢に関わらずどなたにも役に立つと思います。
ただし、あくまで“書いた時点”での自分の情報(財産など)・気持ちを書き残すものですので、月日が経って変化した場合は、見直し(書き直し)も必要です。
まず最初は、現時点でのご自身の情報(所有財産や日常生活での契約サービスなど)を整理しましょう。夫婦やご家族であってもお互いの金融口座や契約サービスを把握していない事は多いので、もしもの時にご家族が困らないための重要な情報です。
お葬式や相続については後回しで大丈夫ですし、この部分についてはご家族全員で話し合うことがより大切だと思います。
エンディングノートは完璧に書く必要はありません、書くべき項目も人によって異なります。必要だと思う部分を少しずつ記入していきましょう。
人それぞれに書く(書きたい)理由があると思いますし、そのタイミングが最良のタイミングだと思います。まずはスタートしてみることがおすすめです。きっと「書いて良かった」と感じていただけると思います。