お葬式の基本的な流れは、皆さんご存知だと思います。ざっくりご説明すると「ご逝去 ⇒ 葬儀社の手配 ⇒ お葬式 ⇒ 火葬 ⇒ 収骨(⇒※初七日法要)」になります。
※収骨後に初七日法要を行わない場合もありますので、このページでは最後を「収骨」とします。
そして、最後の収骨が終わったからといって、誰も何も言わずに勝手に帰宅するわけではなく、やはりお葬式の締めくくりとして「喪主の言葉(ひと言)」が必要です。
決して堅苦しいものではなく、簡単に言えば「感謝の言葉」です。
無事にお葬式を終える事ができました。ありがとう。皆さん気を付けて帰ってください。
という感じの内容だけでも十分だと思います。
あくまで、お葬式は「故人様とのお別れ」が最重要です。ですので、お葬式の締めくくりに何を言おう?なんて無理に考える必要はありません。きっとその時になって、自然と出てくる言葉が一番良いと思います。
今回は、「お葬式最後の喪主の言葉」について、少しお話ししたいと思います。内容的には「これからお葬式を行う人向け」になりますが、よろしければご覧ください。
「◯◯は、しません・ありがとう・解散!」
お父様の葬儀をご依頼下さった、Aさん(喪主・長男・60歳代)。
- お葬式:家族葬
- 参列者:Aさんご家族+親族10名様ほど
- お坊さん:当社紹介
- お墓:公営霊園
Aさん家族と親族の皆さんはとても仲が良く。「明るく故人を見送りたい」Aさんのご希望どおりに、お葬式全体としては明るく和やかに終えられたと思います。
Aさんの最後の言葉
そして、収骨を終えた後のAさんの言葉
皆さん、お疲れさまでした。無事に父の葬儀を終えることができました。色々協力してくれて、本当にありがとう。
え~、今後の法要などの予定についてですが
- 四十九日法要はしません。するとしても簡単に家族だけで行います。
- 納骨も当分はしない予定です。
- 初盆や一周忌なども予定はないです。
また、何かお伝えすることがあれば、こちらから連絡します。
それでは、ここで解散とさせていただきます。
じゃあ、皆さんお気を付けてお帰り下さい。
ありがとう!解散!
その後、ご親族同士で「お疲れ様。また連絡するね」「◯◯ちゃんにヨロシクね」、そして私たちには「お世話になりました」とお声掛けを頂き、「集合 ⇒ 報告 ⇒ 解散」まで3分程でした。
もしかすると、Aさんの場合は日常的に親族間で連絡を取り合っているから、こんな終わり方が可能だったかもしれませんが、これほど見事に解散するケースは少ないです。
実際には、久しぶりに集まった親族同士で話が膨らむケースが多いですが、個人的には「こんなシンプルな終わり方も良いな」と思いました。
【補足】人(立場)によっては、Aさんと同じ様にできないかも
喪主のAさんは、親戚の中で最年長者で長男、他の参列者は大阪府外にお住いの弟さん家族、妹さん家族でした。
法要をしない発言に反対意見が出ると思いましたが、私たちの知らない所で話合いが済んでいたのかもしれません。
基本的には「どのようなお葬式を行うか?法要をどうするか?」は、故人様のご家族(喪主)が主導で決めても良いと思います。でも、故人に対する想いは人それぞれですので、親族(兄弟姉妹・おじおば等)を無視することもできません。
実際、反対意見が出る事もあります。
- お葬式を直葬(火葬のみ)で済ませようとしたら反対された
- 直葬には反対されなかったけど、僧侶の読経は必要と怒られた
- お通夜を行わない1日葬を反対された
- 四十九日法要を行わないことに反対された
など、色々です。
「こうした方が良いんじゃないの?」とアドバイス的な意見もあれば、「絶対に反対!」という意見もあります。
Aさんの様に、喪主が「最年長者・長男」という立場であれば、全員が納得するかもしれませんが、もしかすると年齢が若い喪主(親族に目上のおじおば等がいる場合)では、同じ様には進まないかもしれません。
100%は難しいと思いますが、ご家族・親族の全員が納得のできるお葬式・法要が理想ですし、それには最低限の話し合いが不可欠です。
お葬式の最後に「今後の予定」を伝えるのも大切
Aさんの様に、お葬式の最後(帰宅の際)に、今後の法要などの予定をご家族・親族へ伝えることは意外に大切だと思います。今後の予定がある程度決定しているのであれば、その場で伝えましょう。
もし、何も決まっていない場合は、
四十九日法要や納骨など、今後については現時点で未定です。決まり次第ご連絡します。
と簡単にお伝えする程度で十分だと思います。
人によっては、お葬式後の法要や納骨を気にされる方もいらっしゃるので、お葬式終了時点での予定(未定の場合は後日連絡)を伝える事がおすすめです。
お葬式中に法要や納骨、場合によっては相続などについてご家族・親族で話し合う
現在(2021年)のコロナ禍では、「故人のご家族のみ」の家族葬が多いです。主な親族が参列できない場合は、お葬式後にゆっくりと話し合いましょう。
誰にでも必要な事ではありませんが、お葬式中に法要や納骨(場合によっては遺産相続関係も)などについて、ご家族・親族で話し合うことがおすすめです。
もちろん、「お葬式に精一杯で、他の事を考える余裕が無かった」という方が圧倒的に多いですし、それが普通だと思います。
あくまで、お葬式は「故人様とのお別れに集中する」ことが最重要ですので、忘れていたとしても問題ありません。
大切な事は対面での話し合いがおすすめ
- 法要をする、しない
- 納骨をいつするか
- 納骨先(お墓・納骨堂など)について
確定までの深い話合いではなく、まずは「みんなの意見を聞く・ある程度予定を決める」くらいでも十分だと思います。詳細については、お葬式を終えてからゆっくりと考えましょう。
お葬式後に電話やメールで連絡するよりも、大切な事は対面での話し合いがおすすめです。きっとその方が、それぞれの気持ちも伝わますし、意見もまとまり易いはずです。また、年配者(お葬式・法要・納骨の経験者)がいれば、良いアドバイスも頂けるかもしれません。
繰り返しになりますが、お葬式や法要については「故人のご家族(喪主)」が主導で決定しても良いと思います。でも、人(立場)によっては、他の親族を抑えてご自身の意見を通すことが難しい場合もあります。
お葬式は、ご家族・親族が集う数少ない機会の1つです。必要に応じて、話し合いをされてはいかがでしょうか。
まとめ
一般的なお葬式の流れは「ご逝去 ⇒…お葬式…⇒ 収骨」、文字にすると全員が同じになりますが、故人・ご家族様の状況など細かな部分は異なります。
喪主を務める大変さも、その人の年齢や親族内での立場、お葬式の内容によっても変わってきます。「思っていたより楽だった」「想像以上に大変だった」など人それぞれです。
今回は、お葬式最後(帰宅の際)の「喪主の言葉」についてお話ししましたが、お葬式は「故人様とのお別れ」に集中するべきですし、他の細かな事に気が回らなくても問題はありません。
最後は、「無事にお葬式を終える事ができました。ありがとう」とシンプルな言葉でも十分だと思います。お葬式後の法要や納骨、相続などについては、少し落ち着いてからゆっくり決めていきましょう。
以前、複雑なご家庭で、喪主様も病気で大変な状況にあり、親族全員で協力をしてお葬式を終えたことがありました。帰宅する際、喪主様は涙ながらに何度も何度も「ありがとう」と感謝の言葉を繰り返していました。たった5文字ですが、とても気持ちが伝わる言葉でした。
お葬式も色々ですし、最後の言葉も色々です。
Aさんの様に、感謝の気持ちと今後の予定を含めて簡潔に伝える、それも個人的には良いと思います。
また、お葬式を無事に終えてホッとした気持ちから自然と出てくる言葉を素直に伝える、それも理想的なお葬式の終わり方の1つかもしれません。