お葬式相談窓口(事前相談)

お葬式の慣習(地元のルール)も大切

お葬式の慣習(地元のルール)も大切

お葬式には、家族葬・1日葬(告別式のみ)・直葬(火葬のみ)などがあり、どのお葬式を選ばれるかは基本的にご家族様の自由です。

でも、お葬式を行う上で「その地域特有の慣習(地元のルール)」がある場合があります。

最も多い例は、【町会(自治会)がお葬式に関わる】場合です。

実例
  • 町内の参列者には、町会が作成した会葬礼状を渡す。
  • 町内の人からの供花は受け取らない。
  • 町内の人は参列時に御香典(一律2,000円)を持参する。
  • 町会の人へは返礼品を渡さない
  • etc…

最近では、慣習(地元のルール)が嫌で町会に連絡をしない方もいますし、喪主(故人の長男など)が地元に住んでいない場合は、あえて地元から少し離れた場所でお葬式を済ませる方も多いです。

大阪市や堺市でのお葬式も家族葬が主流になり、町会参加は少なくなりましたが、まだまだ町内の自治会館や集会所などでお葬式を行う地域はあります。

そして、もう1つお葬式で切り離せない項目が「寺院(お坊さん)」です。

地方の小さな町では、町民の多くが特定(1つ)の寺院の檀家の場合もあります。つまり、町内でお葬式を行う場合は、その寺院を無視できません。

今回は、そんな「地元のルール」と「寺院(お坊さん)の手配」でトラブルになったAさんのお話です。

葬儀社とお坊さんを手配 ⇒ ダメ!

先日、ある斎場のロビーで喪主様の義兄(以下Aさん)とお話をしていました。

Aさんは◯◯県出身で一人っ子。大学進学以来、ずっと大阪でお住まいです。

お話は、Aさんの「お父様の葬儀」について

先日、父が亡くなりまして。母も高齢なので、父が亡くなる前に自分で実家近くの葬儀社を調べて連絡を取り、お坊さんも手配しました。

お通夜の前日に実家に戻り、ご近所さんや地元の父の友人たちと話をしていた時、トラブルがあったんです。「お坊さん」の事です。

実は地元では、お葬式の時に呼ぶ寺が決まっているみたいで。

“こちらで手配しました” と言ったら、

『ここで葬儀をする時は、◯◯寺って決まってる!』と怒られて…全然知らなくて…

実はAさんのお家には「菩提寺」があった

正確には「ここ(この町内)で葬儀をする時」ではなく、「(Aさんの家は)昔から◯◯寺にお勤めを頼んでるし、お墓もあるから、◯◯寺以外はダメでしょ」という意味だと思います。

もしくは、小さな田舎町と言っていたので、その地域の大半が◯◯寺の檀家なのかもしれません。

Aさんの様に若い時に地元を出ると、ご自分の家が特定の寺院と付き合るがあることを知らない方も多いです。

先に「戒名料」を支払った?

間違えたのは仕方がありませんので、手配したお坊さんをキャンセルすれば済む話かと思いました。しかし、Aさんは先に「戒名料」を支払済みで、その分が無駄になったみたいです。戒名にもよりますが、数万円~十数万円かと思います。

葬儀社に依頼したのか、Aさんがインターネットなどで手配したのかは不明ですが、お亡くなりになる前に戒名料を請求するのもどうなのかな…と思います。

Aさんが「先に戒名をください」と言ったのなら別ですが、それは無い気がします。

戒名(かいみょう)について

本来、「戒名は生きている間に授かるもの」で正しいですが、「出家をしない人(一般の人)」はお亡くなりになってから授かることが多いです。

結構ムッとした

その他にも、Aさんは分からない事だらけで数日間ヒヤヒヤしたそうです。私たちも「え!?そんな事をするんですか?」という事もありました。地元のルールは本当に色々です。

結果的に、お父様のお葬式自体は、きちんと見送ることができたようで良かったです。

長年地元を離れていたので、Aさんは何かトラブルはあると覚悟していたみたいですが、さすがに帰って早々、父親と同年代の方々(中には同級生の親御さんも)に強く叱られた(?)ことに「こっちは父の葬儀で帰ってきてるのに何なんだ!」と結構ムッとしたようです。私も同じ立場だったら、絶対にムッとします。

そういった事を予想して、あえて地元でお葬式をしない選択をする人が多いのかもしれません。

MEMO

例えば、「故人が堺市民」で「喪主が大阪市民」の場合、地元の堺市ではなく大阪市内でのお葬式も可能です。他府県の人を大阪市内でお葬式をすることも可能です。

大学進学などで若くして地元を離れると、地元のルールが分からない事はよくある話です。地元の人も決して悪気はないと思いますが、Aさんに対する言い方に少し問題があったのかもしれませんね。

Aさんは、「父の友人もたくさんいるだろうから」と地元でのお葬式を選びましたが、もう少し地元の年配者が優しく教えてくあげたら良かったのにと思います。

本来は、葬儀社が「菩提寺(お付き合いのある寺院)」を確認するべき

地元のルールは本当に色々ですので、葬儀社さんが全てを把握できていないのは理解できます。

ただ、寺院(お坊さん)の手配については葬儀社に不備があった気がします。

  • Aさんが「葬儀社」にお坊さんを依頼したのか?
  • Aさんが「ご自身」でお坊さんを手配したのか?

どちらかは不明ですが、どちらにしても葬儀社はAさんに対して菩提寺(お付き合いのある寺院)の確認が必要です。

もしAさんが葬儀社に依頼をした場合でも、「ご紹介は可能ですが、お付き合いのあるお寺はありませんか?」と確認するべきです。また、Aさんが葬儀社に「自分でお坊さんを手配しました」と言ったとしても同じです。

お葬式を行う上で、「菩提寺(お坊さん)とのトラブル」は最注意事項の1つです。


僕が手配しました

ここで少し別のお話を挟みます。あるご家族様と打合せをしていた時です。

そのお家は、特定の寺院(◯◯寺)と長年お付き合いがあり、寺院内にお墓もありました。この場合、◯◯寺の僧侶に読経・戒名をお願いするのが基本です。

しかし、喪主(長男)様が突然「お坊さんは僕が手配しました」と発言。ご家族も当社スタッフも「え!?」と驚きました。もちろん、トラブルの原因になるのでキャンセルをしてもらいました。

喪主様は、◯◯寺にお墓があるのはご存知でしたが

「お坊さんなら何でも良いのでは?」

と思っていたみたいです。依頼者様の状況を聞かずに依頼を受ける業者(?)も問題ありですが…

注意

インターネットでお坊さんを紹介する会社(仲介業者)もありますが、まずは葬儀社へのご相談がおすすめです。

葬儀社にお坊さん紹介を依頼をしても、御布施の金額は同額程度だと思いますし、地元の身元が保証されたお坊さんを紹介してくれるはずです。


何もしなくて良い時は、葬儀社から「何もしなくて良い」と言って欲しい

Aさんの話に戻りますが、Aさんは地元で葬儀をしたことに後悔は無いようでした。とにかく、初めて喪主を務め上げたことにホッとしたようです。

そして、Aさんとの話の中で、【葬儀社にして欲しかった事】で印象に残っているのは

何もしなくて良い場合であれば、「今は何もしなくて良いですよ」と葬儀社からもっと言って欲しかった

具体的には

  • お通夜の準備は整っているので、開式まで自由にお過ごしください。
  • すべて手配は済んでいますので、現時点では特に喪主様に決めていただく事はありません。

こんな言葉をもっと葬儀社スタッフから言って欲しかったようです。

お葬式が初めての人は状況を判断できない

続けてAさんは

お葬式が初めての人にとっては、何もしなくても良い状況であっても、今がその状況なのかが分からない

確かにおっしゃる通りだと思います。

当社では、お葬式の流れや時間などを打合せ時に細かくご説明していますが、【その場面場面で、言葉で伝えているか?】と思い返すと不十分なところも多々あると感じました。

葬儀日程表(予定時間も記入)もお渡ししていますが、それだけでは不十分なのかもしれません。文字で伝えるだけでなく、もっと言葉で直接伝えるべき部分を見落としているのかもしれません。

あえてお声掛けをしない場合もありますが、これをきっかけに見直してみたいと思います。

Aさん、貴重なご意見ありがとうございました。

まとめ

今回は、お葬式での地域特有の慣習(地元ルール)についてお話ししました。

今は町会(自治会)参加のお葬式はとても少なくなりましたが、まだまだ地方のお葬式では地元の人が参加・協力するお葬式もあります。

そういったお葬式は良い面も悪い面もあると思いますが、地元のルールは拒否するのではなく、受け入れる必要もあります。

長年、地元から離れていた方が、地元のお葬式で喪主になることは大変な部分もあるかもしれませんが、その点に関しては地元の人がサポートしてくれるはずです。

もし地元に菩提寺(お付き合いのある寺院)がある場合は、菩提寺もサポートしてくれるはずです。

どの様なお葬式を行うか?は、基本的に故人様のご家族の自由です。もしお悩み事がある場合は、まず地元の葬儀社さんへのご相談がおすすめです。