遺言書は何度でも自由に書き直しが可能です。定期的に内容を見直したり、遺言書を作成後に生活状況や考えが変わることもあります。そのため、複数の遺言書が見つかる可能性もあります。
もし遺言書が複数(2通以上)見つかった場合、同じ内容(財産)について書かれた遺言書は「作成日」が新しい方が有効になります。ただし、異なる内容(違う財産)について書かれている場合は、すべて有効になる場合もあります。
いずれにしても大切な財産に関することですので、もし遺言書を発見した場合は、専門家(弁護士・司法書士など)へのご相談がおすすめです。
遺言書は基本的に「作成日(日付)」が最新のものが有効
遺言書の書式(要件)は厳格に定められていて、必ず「作成日(日付)」が記載されています。法律では、最新の日付の遺言書(最後に作成された遺言書)が有効と定められています。
新しい遺言書で「古い遺言書の内容を撤回した」と見なされます
例えば、遺言書1・遺言書2が見つかり、両方とも【同じ財産◯◯】に関する内容だった場合、新しいの日付の遺言書が有効となります。
下記の場合、作成日が新しい「遺言書2」の方が有効になります。
※ただし、遺言書1・2ともに法的に有効(不備がない)な場合。
- 遺言書1
(作成日:2023年1月1日)
「財産◯◯をAに相続させる」 - 遺言書2
(作成日:2024年1月1日)
「財産◯◯をBに相続させる」
遺言書が複数ある場合
民法1023条
前の遺言が後の遺言と抵触する時は、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
遺言書の内容が重複していない(違う財産について書かれている)場合、「日付が古い遺言書」も有効
遺言書が2通以上ある場合、原則として「作成日が新しい遺言書」が有効ですが、あくまで【同じ内容(財産)】に関してです。もし、内容が重複していなければ、日付が古い遺言書に書かれた内容も有効になる場合もあります。
最新の日付の遺言書1つだけが有効ではなく、もし遺言書が2通以上ある場合、各遺言書の内容に「抵触する部分(内容に矛盾・重複)」がなければ、各遺言書は有効になります。
2通の遺言書が「異なる財産」について書いている場合
例えば、日付が異なる遺言書が2通見つかった場合。
- 古い遺言書
財産「X」を長男へ相続させる内容。 - 新しい遺言書
財産「Y」を次男へ相続させる内容。
作成日の違いはありますが、【財産X】と【財産Y】は異なり、両立可能です。遺言内容に抵触(重複)する部分が無いため、どちらの遺言書も有効になります。
2通の遺言書が「同じ財産」について書いている場合
- 古い遺言書
財産「X」を長男へ相続させる内容。 - 新しい遺言書
財産「X」を次男へ相続させる内容。
両方とも、【同じ財産X】に関する内容として抵触(重複)する事になり、両立は不可能です。この場合、新しい遺言書で古い遺言書を撤回したと考えられます。つまり、新しい遺言書が有効となり、財産Xは次男へ相続されます。
遺言書の「種類」が異なる場合でも効力は同じです
細かく分けると、遺言書は「3種類」あります。一般的に遺言書は「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」のどちらかです。
※もう1つの「秘密証書遺言」は少ないです。
- 自筆証書遺言
ご自身(自筆)で作成する遺言書。 - 公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう遺言書。
公正証書遺言は公証人(法律の専門家)が作成に関わり、原本が公証役場で保管されますので、法的に自筆証書遺言より強い効力がある感じがしますが、遺言書としての効力は同じです。
ただし、自筆証書遺言の場合、要件にミスがあり無効になる可能性もありますので、もし遺言書作成をご希望の場合は公正証書遺言がおすすめです。
遺言書を発見した場合は「大切に保管+開封厳禁」、そして専門家へ相談しましょう
もし遺言書を発見した場合は、まずは大切に保管し、開封は厳禁です。そして、ご自身以外にも相続人がいる場合は、遺言書が見つかった事を必ず連絡をしましょう。
場合によっては、家庭裁判所で検認(けんにん)という手続きも必要になります。遺言書発見時の状況は様々だと思いますが、トラブルなく相続手続きを進めるには相続の専門家(弁護士・司法書士など)へのご相談がおすすめです。
また、専門家を探すことが難しい場合は、お葬式を依頼した葬儀社さんに紹介してもらうこともおすすめです。
お問い合わせ
新家葬祭(しんけそうさい)
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